遺産分割について
遺産分割とは、相続人が複数いる場合に、相続人の共有財産を相続分に応じて分割することである。
例えば、実家の家や土地。車や預金など、分けられるものから分けられないものまで、いろいろな財産を相続人で分ける必要がある。
2024年4月から相続登記の義務化が開始するなど、遺産分割をしないということは考えてはいけない。
遺産分割手続きの種類は主に4つ
遺産分割には「遺言に沿った遺産分割」「遺産分割協議」「遺産分割調停」「遺産分割審判」の4つの方法があり、基本的には相続人全員が納得するまで行われる。
遺産分割は、1度きりしかできない+相続人同士がもめる可能性が高いので、慎重に。
遺言による遺産分割
遺言書に指示がある場合、原則としてその指示に従って財産を分割する。
合意が得られない場合でも、遺言の内容によって個人の遺留分が侵害される場合は、相続分が不当に多い相続人に対して、遺留分の侵害額請求を行うことも可能。
遺産分割協議
遺産分割協議は、相続人全員が遺産の分割について話し合うこと。
原則として相続人同士全員の同意が必要になるため注意が必要。(疎遠の相続人がいる場合など、自力で解決が難しいケースも多々ある)
この協議において、相続人たちは遺産の分け方や、各自の相続分を決めるために意見交換を行う。
ただし、相続人同士が直接協議しようとすると、感情的になりやすく、話し合いが難航する可能性もある。各個人の主張がバラバラで話し合いが並行線になってしまった場合は、弁護士に依頼することで、円滑な解決を目指すと良い。
ちょっとでも揉めそうだと感じたら、早めに弁護士に相談する。
遺産分割調停
遺産分割調停は、相続人たちの間で合意が形成されない場合や問題が生じた場合に、家庭裁判所で行われ、調停委員が仲介役として介入し、話し合いによる解決を試みる手続きである。
ここまでくると、相続トラブルに発展してしまっている。
遺産分割調停において、調停委員は各相続人からの事情を確認し、必要に応じて資料の提出を求め、事態の整理を行う。その後、各相続人が希望する分割方法や分配比率などについて聴取し、合意が形成されるよう話し合いが進められる。
遺産分割審判
遺産分割調停が行き詰まる場合、自動的に遺産分割審判に移行する。別途審判を申し立てる必要はなく、調停員の指示に従うかたちになる。
特筆すべきは、遺産分割事件において、調停前置主義(つまり、まず調停を試みなければ裁判を開始できないという原則)が存在しないことである。
最初から「調停」または「審判」の手続きを申し立てることも可能だが、通常、裁判所にまず調停を申し立て、話し合いによる解決を試みよう。
調停や審判が必要な場合、基本的には弁護士のサポートが必要になる。遺産分割協議、遺産分割調停、遺産分割審判などの法的な手続きを自分ひとりで行うのはほぼ不可能だからだ。これにより、相続人との交渉、必要書類の収集、裁判所での対応など、面倒な作業を一任できる。
まとめ
遺言書が存在しない場合、遺産分割は相続人同士の話し合いになる。
基本的には「1:遺産分割協議」「2:遺産分割調停」「3:遺産分割審判」の手続きが順に進行し、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割など、いずれかの方法で遺産を分けることになるだろう。
遺産相続は、相続人たちだけで進行することも可能だが、時には相続人の特定漏れや、感情的な衝突が発生して手続きが円滑に進まないこともよくあるトラブルだ。
もちろん、何事もなく、円満に遺産分割協議が終わることが一番良いし、故人もそれを望んでいるだろう。
しかしながら、それでもなお不平等な相続を強いられている方がいるのも事実。
最近だと、昔と異なり「法律相談」が初回無料の事務所も存在するので、弁護士への相談に迷っている方は、まずは話を聞いてみること。