親が亡くなった時、誰が相続人になる?遺産相続のやり方とは

親が亡くなると、家族は悲しみに暮れる間もなく、多くの手続きに追われることになります。この状況下では、誰が相続人になるのかや、相続手続きをどのように進めれば良いのかが分からないと、不安や焦りが募りますね。

そこで、この記事では親が亡くなった際の相続人の優先順位から、相続手続きの進め方までを詳しく解説します。

目次

親が亡くなった場合の相続人の順位について

「相続人」とは、亡くなった方の財産の権利と義務を引き継ぐ人を指します。

一般的には、親が亡くなった場合の相続人は「配偶者と子ども」です。配偶者がいる場合は配偶者と子どもが相続人になり、配偶者がいない場合は子どもが相続人となります。

ただし、特別な状況では、孫や親、兄弟姉妹も相続人になることがあります。法定相続分は1980年に改正されて以降、時期によって異なることがありますので、注意が必要です。

この記事では、親が亡くなった場合の相続人について法律でどのように規定されているかを解説します。

相続人の順位について

相続人となれる人は法律で定められています。

配偶者は常に相続人となります。ただし、相続開始時点で被相続人の法的な配偶者である必要があり、内縁関係や離婚した元配偶者は相続人とはなりません。例えば、実父が亡くなり実母が存命であっても、実父母が離婚していれば実母は相続人にはなりません。

配偶者以外の相続人には順位があります。先順位の相続人がいない場合に、後順位の相続人が相続人となります。

第1順位は被相続人の子です。被相続人に配偶者と子がいる場合、配偶者と子が相続人となります。被相続人に配偶者がおらず子がいる場合、子だけが相続人となります。養子や非婚の子も含まれ、相続人となります。

第2順位は、被相続人の父母です。被相続人に配偶者も子どももいない場合、被相続人の父母が相続人となります。被相続人の両親が相続開始時に亡くなっている場合、その代わりに祖父母が相続人となります。

第3順位は、被相続人の兄弟姉妹です。被相続人に配偶者も子どもも両親も祖父母もいない場合、兄弟姉妹が相続人となります。父母の一方しか共通しない兄弟姉妹も相続権を有します。

もし相続開始時に亡くなっている兄弟姉妹がいる場合、その兄弟姉妹に子ども(被相続人から見ると甥または姪)がいれば、その甥または姪が代襲相続人となります。ただし、甥または姪も亡くなっている場合は、その子どもたちは再代襲相続人にはなりませんのでご注意ください。

先順位の相続人がいない場合

  1. 先順位に該当する人が元々存在しない場合。
  2. 先順位に該当する人が相続を放棄した場合。
  3. 先順位に該当する人が相続開始時に既に亡くなり、その代襲相続人が存在しない場合。
  4. 先順位に該当する人が相続欠格または相続廃除により相続権を失い、かつその代襲相続人が存在しない場合。

したがって、先順位の相続人が存命であっても、特定の状況下では相続人としては「いない」と見なされることがありますので、注意が必要です。

相続人を特定するためには、戸籍謄本を確認する

親が離婚、再婚、養子縁組、認知などをしている場合、自分が知らない配偶者や子どもが存在する可能性もあります。

親が亡くなった場合は、親の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せ、相続人を正確に調査・特定する必要があります。

通常、戸籍謄本は結婚や転籍、改製により複数存在し、多くの場合膨大な数になっています。それぞれの戸籍謄本を集める作業は大変であり、読み解いて相続人を特定することも困難です。

もし問題が発生した場合は、相続問題に精通した専門家に相談し、適切な対応を行うことをお勧めします。

相続人が確定した後の流れ

  1. 相続人間で遺産を分け合う(遺産分割)
  2. 遺産分割の結果に基づき相続税の納付や名義変更などを行う

相続人間で遺産を分け合う(遺産分割)

まずは遺言の有無を確認

被相続人が生前に遺言書を作成し、遺産分割の方法を指定している場合、基本的にはその内容に従って遺産分割が行われます。

遺言書の存在する場所としては、公証役場(「公正証書遺言」が作成されている場合)、法務局(遺言書保管所)、自宅の金庫や金融機関の貸金庫などが考えられます。

公証役場または法務局に保管されている遺言書以外は、発見後に速やかに家庭裁判所に「検認」という手続きを申し立てる必要があります。

「検認」とは、裁判所がその遺言書が被相続人本人によって作成されたものかを確認し、改ざんなどを防ぐための手続です。

遺産の調査と確定

遺産には、被相続人が残した預貯金、不動産、現金、有価証券、自動車などのプラス価値のある財産だけでなく、被相続人名義の借金(ローン)などのマイナス価値の財産も含まれます。

遺産の全体像を正確に把握することは非常に重要です。遺産の全体像を把握できないと、相続人間で遺産を公平に分け合うことが困難になるだけでなく、相続税の計算や相続放棄の判断にも影響が出てしまいます。

預金通帳、登記事項証明書、証券会社の取引報告書、また被相続人宛に届いていた郵便物などを手がかりに、漏れなく遺産を調査するようにしましょう。

相続放棄や限定承認の決定

遺産にはプラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれ、相続人はこれらをすべて引き継ぐことになります。

ただし、遺産の調査結果、マイナスの財産の総額がプラスの財産の総額を上回る場合などには、「相続放棄」を選択して財産を一切引き継がないこともできます。

その際は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄申述書」という書類を提出する必要があります。相続放棄の手続きは、相続人各自が単独で行うことができます。

さらに、プラスの財産の範囲でマイナスの財産を相続する「限定承認」も選択できます。この場合も、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に書類を提出して手続きを行います。ただし、限定承認は、相続人全員で行う必要があります。

遺産の調査に時間がかかり、相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続放棄や限定承認の判断ができない場合は、家庭裁判所に期限の延長を求めることもできます。

遺産分割協議

遺産の調査や相続放棄などが終了したら、相続人全員で遺産の分配方法について話し合います(遺産分割協議)。

遺言が存在する場合でも、相続人全員の合意により遺言内容と異なる分配方法を採用することが可能です。

また、分配比率については法定相続分が基準ですが、相続人全員が同意すればこれを変更することもできます。

話し合いの結果、合意が得られれば、その内容について「遺産分割協議書」を作成します。

「遺産分割協議書」は、相続人間のトラブルを防止し、名義変更などの相続手続きに必要です。

相続人間での話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所での手続き(調停・審判)を利用することも考えられますが、解決には時間がかかることがあります。

まずは相続問題に精通した弁護士に相談し、必要に応じて話し合いに介入してもらうことをお勧めします。

調停や審判に進む際には、法的な観点から事案を検討する必要があるため、弁護士に相談することが重要です。

納税、名義変更などを行う

遺産分割が済んだら、その結果に基づいて納税や名義変更などを行います。

相続税の申告と納付

被相続人の遺産が「基礎控除」を超える場合、相続人は相続税の申告と納付を行う必要があります。

申告・納付の期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

遺産分割がまとまらない場合、法定相続割合に基づいて一旦申告・納付することになります。

相続税の算定や申告書の作成は複雑で難しいため、税務の専門家に相談することをお勧めします。

遺産の名義変更と処分

相続人それぞれが相続した財産の名義変更などを行うことにより、遺産が各相続人の所有となります。

具体的には、以下の手続きがあります。

  • 預貯金:金融機関で引き出しや解約、または名義変更を行います。
  • 不動産:法務局で所有権移転登記を行います。
  • 有価証券:証券会社で相続人の口座に移管します。
  • 自動車:運輸支局で名義書換を行い、その後売却や廃車などを選択できます。
  • 保険:保険会社で受取人や契約者の変更、解約などを行います(契約内容により異なります)。

各手続きには必要な書類がありますので、きちんと準備して進めてください。

まとめ

親が亡くなった場合の相続人の順位と手続きについて説明しましたが、お役に立てたでしょうか。

相続人の確定だけでも多くの手続きが必要となります。

また、遺言書の探索や検認、遺産の調査や分割協議書の作成、税金の納付、名義変更など、さまざまな届出もあり、それぞれに手間や専門知識が必要なケースもあります。

困難を感じたら、早めに相続問題に詳しい専門家に相談することが大切です。

この情報が相続に関する問題に直面している方々にとって役立つことを願っています。

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