「遺産相続での泣き寝入り」には多くの事例が存在し、不公平な遺言、遺言書の不正、強引な遺産分割、協議の拒否、遺産の隠匿や不正利用、相続放棄の強要などが頻繁に見られます。
訴訟やトラブルを避けるためには、的確な対応や法的アドバイスが必要になってくるケースもあります。この記事ではそんな泣き寝入りしなくてはいけないのかどうかをアドバイスできればと思います。
相続はお金が絡んでくるからできれば泣き寝入りしない方向にもっていけるようにアドバイスしていくぞ
遺産相続における泣き寝入りの典型的な事例
「遺産相続の問題で泣き寝入り」という言葉には多岐にわたるシナリオが存在します。以下に、比較的頻繁に見受けられるトラブルの具体例を紹介します。
事例1|不公平な遺言が残されている
「全財産を◯◯に譲る」といった極端な遺言も、法的な要件を満たしていれば有効です。他の相続人が不服を唱えても、基本的にはその通りに執行されることがあります。
遺言書の不正行為同居している親族が遺言書を書き換えたり、偽の遺言書を用意したり、破棄したりすることが可能です。これらの行為は罪に問われる可能性がありますが、証明が難しい側面もあります。
事例2|強引な遺産分割をされた
全員の合意が必要な遺産分割協議で、特定の相続人が強引に進行させる場合があります。時には協議書が不正に作成されることも考えられます。
事例3|遺産分割協議の拒否
逆に、一部の相続人が協議を拒否し、話し合いが進まない状況も見られます。これにより、遺産相続が行き詰まり、相続放棄することもあります。
事例4|遺産を隠されている
同居家族が一部の遺産を秘密裏に隠匿する場合があります。例えば、本人と家族だけが知っている預金口座などは、他の相続人が気付くのが難しいです。
事例5|遺産の不正利用があった
遺産を管理する家族や相続人が、私的な目的で現金や預金を不正利用するケースも発生します。特に本人がこれを否定する場合、証明が難しいことがあります。
事例6|相続放棄の強要をされている
他の相続人から相続放棄を強要されたり、欺かれて相続放棄を余儀なくされるケースも見受けられます。問題を避けるため、弁護士に相談することなく泣き寝入りすることもあります。
遺産相続で泣き寝入りをしないためにある権利とは?
どんなトラブルが発生しても、泣き寝入りする必要はありません。法律(民法や刑法)には、相続に関する様々な問題を解決する手段が定められています。
遺留分侵害額請求
遺言書による遺産の独占は合法ですが、法定相続人には最低限の相続を保障する「遺留分」が与えられています。他の相続人や第三者による遺産の独占に納得できない場合、遺留分侵害額請求によって、独占者に対して遺留分に相当する金銭の支払いを要求できます。これは口頭や書面で行われ、交渉が難航する場合は家庭裁判所に申し立てることもできます。
相続回復請求
表見相続人が遺産を独占している場合、相続回復請求によって財産を取り戻せます。これには相続権を失った元相続人や、偽の届け出によって「被相続人の子供」とされた人も含まれます。
遺産分割請求権
遺産分割請求権は、他の相続人に遺産分割協議を要求する権利です。相続人が合意しない場合、民法に基づいて遺産の分割を求めることができます。
遺産分割調停・遺産分割審判
遺産分割調停は、裁判所が選任した調停委員が中立的な立場から当事者双方の話し合いを進める手続きです。話し合いがまとまらない場合は、裁判官が遺産分割審判を行い、相続分を決定します。
遺産分割協議無効確認訴訟
相続人の一部が参加せず、または財産が隠されたまま遺産分割協議が行われた場合、各相続人は裁判所に協議の無効確認訴訟を起こすことができます。
遺産分割協議不存在確認訴訟
遺産分割協議書が偽造された場合、相続人は協議の不存在確認訴訟を起こし、正式な遺産分割協議の実施を要求できます。
不当利得返還請求・損害賠償請求
遺産が悪用された場合、不当利得返還請求や損害賠償請求を行うことができます。これには口頭や書面での請求の他に、裁判手続が含まれます。
代償金の請求
不動産の勝手な登記が行われた場合、代償金の請求が可能です。話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所に審判を申し立てることもできます。
早期解決をしたいなら専門家への相談
相続のトラブルは長引けば長引くほど、解決が難しくなります。逆に、対処が早ければ問題にならないことも多いです。
しかし、対処のタイミングや方法は素人にとっては判断が難しいものです。こうした場合に役立つのが「専門家」です。専門家はさまざまな種類が存在し、発生しているトラブルや将来予測されるトラブルの内容に応じて適切な専門家を選択することが重要です。
相続人同士のトラブルに直接関与できるのは原則として「弁護士」だけです。特にトラブルが裁判に進展しそうな場合は、必ず弁護士に相談しましょう。
まだトラブルが発生していない場合(トラブルの予防が目的の場合)、行政書士や司法書士に依頼することができます。どちらも書類作成のプロとして、トラブルになりにくい遺言書や遺産分割協議書の作成、財産調査などについてアドバイスや手続代行が可能です。
相続のトラブルに発展してしまった場合は自力で解決できることはほとんどないぞ。泣き寝入りするくらいなら弁護士を頼って、少しでも遺産を獲得出来たほうがいいというのが筆者の意見だ。
まとめ
遺産相続においてトラブルに巻き込まれても、正確な対処方法を知っていれば泣き寝入りする必要はありません。どのような対処方法が存在し、どのタイミングでどのように対応すればよいかは、弁護士を含む専門家に相談することが重要です。様々な法的制度と専門家の知識を有効に活用して、スムーズな相続手続きを進めることを目指しましょう。