相続のトラブルで、まれにあるケースがこの「遺産隠し」である。
親の通帳を管理している兄弟が預金を引き出してたんすの中に隠していたというような場合もある。
今回は、遺産隠しをされた人はどう対処すればよいかを解説していくので、ぜひ最後まで読んでほしい。
遺産隠しとは?
「遺産隠し」または「相続財産隠し」とは、亡くなった方の相続財産や口座を管理していた人が、相続した通帳を見せず、または被相続人に無断で口座から生前に出金し、遺産相続に関連する現金を隠す行為を指す。もし、遺産隠しをされているかも?と感じた方はこの記事を読めば、取り返すための方法がわかるだろう。
遺産隠しは犯罪になるのか?横領罪は適用されるか?
刑法第244条1項では、配偶者、直系血族、同居の親族との間での横領を免除する規定があるからだ。通常は犯罪とされず、罰則も課されない。(ただし、後見人の場合は業務上横領罪が成立し、刑罰が適用される可能性があります)。
そのため、相続財産隠しに対しては通常、警察の介入は期待できない。
税務署が隠されていた財産に対して課税をするため、これを指摘することがあるかもしれないが、通常の場合は動くことは少ないと言える。
相続財産の開示義務はないの?
ではどうすればよいか。
たとえば引き出された預金の履歴があるなど、正式な手続きを行い、調査をすれば遺産隠しがあるかどうかを突き止めることができる。
遺産を隠された相続人としては、隠された相続財産や口座を調査すれば、遺産の返還を求めることができる。
しかしながら、遺産隠しに対して返還請求ができるのが、通常口座から出金されてから10年が原則。(金融機関の取引履歴も通常は過去10年分しか取得できません)。
したがって、遺産を隠された相続人としては、できる限り早急に相続財産隠しの調査に取り組むことが必要になる。
遺産隠しの調査方法については次の章で詳しく解説する。
遺産隠しの調査方法
取引履歴を取り寄せる
遺産隠しをしているかもしれない相続人がいる場合、相続財産を率直に開示してもらえるのが望ましい。
しかし、そう簡単に自分の管理下にある相続財産を教えてくれることは無いだろう。
遺産隠しを行っているのはそもそも自分の取り分を多くしたいからだ。
このようなケースでは、自分で預貯金などの取引履歴を入手したり、銀行に調査を依頼しない限り、遺産を隠し持っていることを証明できない。
あなたが相続人であれば、取引履歴を得られる権利があるが、必要な書類を収集する手間がかかるだろう。
このような時には、弁護士の協力を得ることも選択肢としてある。費用は発生するが、委任状を受け取って取引履歴を取り寄せたり、必要に応じて弁護士会を介して財産の照会することができる。
取引履歴の調査
取引履歴の調査は、不自然な出金や解約を確認するために行います。
遺産隠しが疑われる場合は以下のとおりである。
・一度に多額の出金や継続的な不自然な出金、不必要な解約がある場合
・取引履歴には様々な情報が含まれており、他の金融機関への振込記録
・年金受給者であるにもかかわらず、年金の入金履歴がない場合
こうした相続財産の詳細な調査には、証拠を専門的に扱う弁護士の協力が必要になる。
相続税の申告がすでになされている場合
相続税の申告をしている場合、こちらには言っていない遺産が申告に含まれている可能性がある。もし税理士に依頼しているのなら、相続税の申告書を確認するようお勧めする。税理士に直接尋ねにくい場合、弁護士を通じて税理士に相続税の申告書を確認するよう頼むこともできるので覚えておこう。
金融機関の口座が特定できない場合
金融機関の口座情報が不明確な場合、被相続人の財産を管理していた相続人に情報を開示するしかない。ただし、遺産を隠している相続人が簡単に口をわる可能性は低いため、遺産相続に精通した弁護士に相談する必要があるかと思われる。
遺産隠しの解決策
遺産が隠された場合、その遺産を回収するためには3つの方法が考えられる。
遺産隠しの解決方法①:遺産分割協議による解決
遺産分割協議の際に、遺産を隠した本人がその行為を認めた場合、他の相続人が遺産の追加分を受け取ることで遺産隠しの問題を解決できる可能性がある。ただし、遺産を隠した相続人が自発的に認めることは稀であり、遺産隠しの代わりに生前贈与を主張することも考えられる。
遺産隠しの解決方法②:遺産分割調停における解決
遺産隠しを行った相続人は、自己の行為を認めないことが一般的であり、そのためには家庭裁判所などの中立的な第三者の介入が必要とされる。このような場合には、遺産分割調停を検討しよう。遺産分割調停には、厳格な証明が求められるため、調停にまで発展してしまったときは、自身で法律関連の業務を行うことは困難である。
遺産隠しの解決方法③:裁判による解決
遺産分割調停において遺産隠しを証明し、家庭裁判所が相手方に認めるよう説得したとしても、相手方が認めない場合、隠された遺産の強制返還はできない。このような場合、隠れた遺産の返還を求めるためには、地方裁判所において不当利得返還訴訟を提起する必要がある。
遺産隠しに関して、無料相談をおすすめしている理由
遺産隠しを証明すること、証明したあとに変換を請求することは、思ったよりも難しく、法的な措置が必要になることが多いからだ。
弁護士はかなり頭が切れる方が多い。遺産相続手続きから紛争解決まで包括的なサポートが可能であり、法的な複雑さが生じた場合や交渉が必要な場面で活躍してくれる。