父親が亡くなった時の、必要な手続きや期限について解説

多くの方が、父親が亡くなったりその可能性がある場合、どのような手続きが必要かわからずに不安を感じることでしょう。

このページでは、相続が発生する直前の準備から始めて、必要な手続きや流れ、期限について詳しく説明します。

目次

死亡届の提出【7日以内】

亡くなった際、最初に行う手続きは「死亡届の提出」です。

通常、葬儀社の方々が手続きを代行してくれます。死亡届は葬儀社等に渡して代理で提出してもらうのが一般的ですので、提出方法や必要事項は葬儀社からの指示に従えば間違いありません。

提出後、1週間から10日程度で戸籍や住民票などに亡くなったことが反映され、それを取得することで相続手続きが進められます。

死亡届には、故人の氏名・住所・生年月日、本籍地・筆頭者などの情報が必要です。本籍地は把握していない方もいらっしゃるかと思いますが、窓口で調べてもらえますし、事前に調べたい場合は住民票を「本籍地・筆頭者入り」で取得する方法が便利です。

また、「死亡診断書(死体検案書)」は、生命保険などの手続きで必要になることがあるため、必ずコピーを取得しておくようにしてください。

相続人の特定【戸籍反映後、速やかに】

死亡届が戸籍等に反映されたら、戸籍等を取得して相続人(そうぞくにん)を調査し、確定させます。

相続人とは、「お亡くなりになった方(被相続人)の遺産を受け継ぐことができる人」のことです。

父親が先に亡くなった場合、相続人は母親と子どもたちです。

相続分は、配偶者である母親が2分の1を受け取り、子どもたちが残りの2分の1をさらに人数で分け合います(2人なら4分の1ずつ)。

相続人を確定させるには、基本的には以下の戸籍取得が必要です。

  • 故人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
    ※ 全ての自治体から取り寄せます。
  • 相続人の現在の戸籍謄本(抄本でも可)
    兄弟姉妹相続、代襲相続、数次相続などがある場合は、別途戸籍謄本が必要です。

これらの戸籍謄本は、法務局での登記や金融機関での手続きなど、多くの相続手続きで必要です。

基本的にはどの手続きでも返却されますので、まずは1セットを集めましょう。

相続財産(遺産)の調査【迅速に行う】

故人の財産(遺産)を調査します。以下の項目を中心に調査しましょう。

  • 不動産: 不動産登記権利証や固定資産税の課税明細書
  • 預貯金: 通帳や金融機関からの通知など
  • 有価証券: 証券会社からの取引報告書など
  • 現金・貴金属: お住まいの中などで見つかる可能性があります
  • 借金・負債: 金融機関からの通知や信用情報、個人間の借用書など
  • 直近まで確定申告をされていた方の場合は、確定申告書類も確認します。

相続税の申告が見込まれる場合は、金融機関や証券会社から相続開始時の残高証明書を取得する必要があります。

会社の経営や商売をされていた方が亡くなった場合は、財産や負債の額が大きく異なる場合がありますので、早めに専門家に相談することをお勧めします。

相続放棄【3か月以内の手続き】

相続放棄を考えている方へ

相続放棄の期限は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」です。この期限内に故人の住所地を管轄する家庭裁判所に申述(申立て)を行います。

3か月を過ぎると、または遺産を処分(売却、使用、消費など)すると「法定単純承認」として、プラスもマイナスも全ての遺産を相続する意思表示とみなされ、相続放棄ができなくなりますので、ご留意ください。

マイナスの財産が多く、債務超過の場合は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に相続放棄を検討することが選択肢となります。また、相続手続きに全く関わりたくない場合も相続放棄を選択することがあります。

相続放棄を行うと、「はじめから相続人ではなかった」ことになりますので、相続手続きに関与せず、負債の支払いも不要です。ただし、プラスの財産も一切受け取ることができなくなりますので、ご注意ください。

準確定申告【4か月以内】

死亡時に故人の収入が確定申告の基準を満たしている場合、死亡から4か月以内に確定申告を行う必要があります。これを「準確定申告」と呼びます。

遺言書の確認【相続人確定後、速やかに】

故人の遺言がある場合は、その内容に従って財産を分配します。遺言は一般的に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類に分けられます。
「自筆証書遺言」の場合は、相続開始後に家庭裁判所で「検認」という手続きを行わなければ、有効とされません。したがって、故人の手で書かれた遺言がある場合は検認手続きに注意が必要です。
一方、「公正証書遺言」は、特別な手続きなしに直ちに有効です。

公正証書遺言が存在するかどうか不明な場合は、全国の公証役場で調査や検索を行うことができます。

遺産分割協議【相続人確定後】

遺産分割協議は、遺言が存在しない場合に相続人全員で行います。

相続人同士が遺産の分配方法を話し合い、その内容を遺産分割協議書にまとめて実印を押印し、印鑑証明書を添付します。

全員の参加が必要で、一人でも参加を拒否すれば協議は成立しません。また、行方不明者がいる場合も協議は成立しません。

協議が成立しない場合は、裁判所で遺産分割調停や裁判を経て、または法定相続分で分配することになります。

遺産分割協議には期限はありませんが、特別受益や寄与分の問題がある場合は10年以内に手続きする必要があります。

相続税の申告【10か月以内】

相続税の申告は、遺産総額や相続分の決定によって必要になることがあります。

現在の法令では、遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下の場合は、相続税の申告は不要です。ただし、基礎控除額を超える場合は相続税の申告が必要となり、適用可能な控除額を考慮して税額が算定されます。

相続税の申告期限は通常、相続開始から10か月以内です。この期限を過ぎると、特例措置の適用ができなくなったり、追加の税金が課されるなどのペナルティが発生する場合がありますので、注意が必要です。

各種相続手続き【3年以内】

相続に関する手続きは、相続人の確定後、戸籍や遺言書、遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書などを集めて金融機関や証券会社に提出し、相続による解約手続きを行います。

遺産の分配方法が決まっていれば、手続きのタイミングは自由ですし、相続税申告の前に行っても問題ありません。

さらに、不動産の所有権移転登記(相続登記)もこの段階で実施します。従来は申請期限がありませんでしたが、令和6年4月1日から相続登記が義務化されるため、これを怠ると罰則が生じます。

相続登記義務化後は相続登記申請【3年以内】

令和2年4月21日に相続に関する民法の改正が成立し、その改正により、登記名義人が死亡して相続が発生した場合、基本的には相続登記を申請する義務が3年以内に相続人に課せられました。この期限を過ぎて相続登記を行わない場合、正当な理由がない限り過料が課されます。

令和6年4月1日以前に相続が発生している場合でも、令和6年4月1日以降に発生した相続については相続開始後3年以内に相続登記を行わなければ、最大で10万円以下の過料が課されることになります。

まとめ


相続手続きには期限があり、時間が限られています。手続きを迅速に進めるためにも、専門家のサポートを検討してみてください。

多くの場合、相続手続きで時間を要するのは「相続人の確定に必要な戸籍収集」や「相続放棄」「遺言の検認」「遺産分割協議書」「相続登記」などです。こうした手続きでは、専門家が幅広くサポートできます。

迷ったら、状況を整理し、どの程度専門家の支援が必要かを検討してみてください。

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