実家の相続問題|売却するのがおすすめな理由

両親が亡くなった場合、住んでいた実家を相続するケースは珍しくありません。

しかしこの際、具体的な手続きや、兄弟姉妹がいる場合の相続分の割合、実家の売却に関する適切な方法について知っておくことが重要です。

今回は、これらの疑問について解説していきます。

実家の相続は結構トラブるのでやっかいだぞ

目次

相続の全体の流れ

まず、実家の相続において全体の流れを簡潔に説明いたします。(もうすでにわかっている方は飛ばしてください。)

実家を相続する際には、最初に行うべき手続きが被相続人である親の財産調査です。これには預貯金の確認や実家の土地・建物の査定、他にも不動産の有無などが含まれます。調査が自力で難しい場合は、弁護士や司法書士に相談することもおすすめです。財産調査では被相続人の借金も確認しなければなりません。相続は被相続人の全資産を受け継ぐものであるため、借金も相続対象となります。

時には借金が資産を上回る場合もあります。このような状況で相続すると、相続人は実家と共に借金も引き継ぐことになります。借金が膨れ上がっている場合は、「相続放棄の申請」を考えることも検討されます。相続放棄の申請は相続権を知ってから「3か月以内」に行わなければなりません。必要な書類として「相続放棄申述書」と「相続人及び被相続人の戸籍謄本」を家庭裁判所に提出する必要がありますが、手続きが不安なら弁護士などに頼むこともできます。

相続放棄を選ばずに進む場合、次に考えなければならないのが「準確定申告」です。これは被相続人が亡くなった年の1月1日から亡くなる日までの収入に対する所得税の確定申告です。年金収入のみで年収が400万円以下、その他の所得が20万円以下であれば準確定申告は必要ありません。ただし、不動産を所有していた場合は相続放棄と同様に、被相続人が亡くなったのを知ってから「4か月以内」に行わなければなりません。

最後に必要なのが「相続税の申告及び納付」です。相続税の申告には被相続人が亡くなった日から「10か月以内」に行わなければなりません。被相続人の資産が「相続税の基礎控除」の範囲内であれば、相続税の申告及び納付は不要です。基礎控除の金額は「3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)」で計算されます。例えば、一人っ子で母親が健在な場合は「3,000万円+1,200万円=4,200万円」となり、被相続人の財産が4,200万円以内であれば相続税の申告は必要ありません。相続税の申告が必要な場合は、申告書の作成には税務署や税理士の助言を得ながら進めることが望ましいです。

「相続放棄」は相続権を知ってから「3か月以内」、「準確定申告」は「4か月以内」、「相続税の申告」は「10か月以内」に行う必要があることをしっかり覚えておきましょう。

これらの期限を守りながら、必要な手続きを行っていくことがスムーズな相続手続きのポイントです。

相続人と相続権について

被相続人の財産を相続するためには、相続人と被相続人との関係性と相続順位を理解することが不可欠です。相続順位は基本的に第一順位、第二順位、第三順位といった形で、被相続人との家族関係に応じて変動します(図を参照してください)。被相続人の「配偶者及び子供」は第一順位に位置し、財産は配偶者と子供に対して等分されます。子供が複数いる場合は、子供の数でさらに分けて分配されます。

もし子供が亡くなっていて孫がいる場合、孫は第一順位に昇格し、子供のかわりに財産を相続できます。ただし、子供が生前に相続権を放棄していた場合は、孫も相続権がなくなるため、慎重な注意が必要です。

また、被相続人に配偶者や子供がいない場合、第二順位として「被相続人の両親もしくは祖父母」が相続権を有します。両親が生存している場合は、両親が半分ずつ相続し、片方だけが生存している場合は生存者が財産を全額相続します。両親が亡くなっていた場合は祖父母が相続し、祖父母も亡くなっていた場合は被相続人の兄弟が相続権を有します。

これらは相続の分配権に関して明確に定められた規則ですが、複雑な家庭の場合は相続権の把握に時間がかかることがあります。その際は、弁護士や法律に詳しい第三者に相談することも一つの方法です。

実家の相続方法


実家の相続には、具体的な手続きが必要です。まず、遺言書の有無を確認することが重要です。遺言書が見つかれば、公的文書であればすぐに確認できますが、「自筆証書遺言」の場合は注意が必要です。この場合、無断で開封すると罰金の対象になります。自筆証書遺言を見つけた場合は、裁判所の立会いのもとで「検認」の手続きが必要となり、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。遺言書には相続資産の分配方法が記載されていることがあり、基本的にはその通りに分配が行われます。

遺言書に異議がある場合や、正式な話し合いを行いたい場合は、「遺産分割協議」を開催し、共同相続人全員で資産の分割方法について話し合います。協議により、遺言書とは異なる分配方法で相続を進めることも可能ですが、全員の合意が必要であり、一人でも反対意見がある場合は協議を終結させることができません。したがって、協議には時間がかかることもあります。

協議の終了後、実家の土地や建物の所有権移転登記を行います。これにより、相続人が実家を相続したことを法的に証明することが可能となります。手続きを怠ると、法的な証明がないままとなりますので、相続が確定した際には迅速に登記を進める必要があります。

最後に、所有権移転登記が完了した後は相続税の計算が必要となります。相続人が相続を知ってから10か月以内に相続税の申告を行わなければならないため、計算を早めに進めることが望ましいです。期限を過すと脱税の疑いも生じますので、相続税の計算は早い段階から着手することをお勧めします。

実家は売却した方が良い理由

いろいろな思い出が詰まっている実家だと思いますが、合理的に考えると、売却した方が良いケースが多いように思います。

実家を売却した方が良い理由は主に3つ。

  • 分割することが難しい
  • 不平等な相続を発生させる
  • 将来売れなくなる可能性がある

それぞれ詳しく解説していきます。

理由①|分割するのが難しい

不動産は、分割するのが難しいです。売却しない場合、家を切り分けることは物理的に不可能なので、誰がが相続する、または共有名義で相続することになります。

この時、誰が相続するか?や、誰が住んで良いか?などの問題が生じることがあり、後々のトラブルにつながる可能性を秘めています。

売却し、現金にすれば、分けることも簡単にできます。

理由その②|不平等な相続を発生させる

分割することが難しい不動産を現金に換算した場合、数百万円の相続財産となります。仮に全ての相続財産が不動産しかなく、相続人が複数人いる場合、相続人間で圧倒的に不平等な割合になってしまうでしょう。

売却することで相続人同士が納得する割合で分けることが可能となるため、不平等な相続の発生も防ぐことができます。

理由その③|将来売れなくなる可能性がある

思い出が詰まっているからといって、今売却しない場合、将来売れなくなってしまう可能性があります。

築年数も増えていきますし、年々家自体が劣化していきます。その上、日本人の人口は減少していきます。買い手が見つからない空き家不動産も増加している事実も考慮すると、なるべく早く不動産は売却した方が良いと思います。

実家の売却の際の注意点

実際に実家を売却するときは、細心の注意が必要です。

依頼する不動産会社によって、売却額が大幅に変わってくるためです。

実家の売却には、大きく分けて不動産会社に仲介を依頼し買主を待つ方法と、不動産会社に買取をしてもらう方法の二つがあります。

不動産会社に仲介を依頼する際のメリットとデメリット

メリット:

  1. 不動産会社だけでなく一般の買主も考えられ、高額での売却が期待できる。
  2. 不動産会社が価格をつけにくい物件でも、一般の買主が興味を示す可能性がある。

デメリット:

  1. 買主が見つからない場合、売却までに時間がかかることがある。
  2. 売却が成立した際、仲介手数料を不動産会社に支払う必要がある。

不動産会社に直接買取を依頼する場合

メリット:

  1. 不動産会社が直接買い取るため、迅速に1か月以内に売却が可能。
  2. 仲介手数料が発生しない。

デメリット:

  1. 築20年以上の建物には価値をあまり見いださない傾向があり、通常の買主よりも低い価格での売却になることがある。
  2. 遠方や地方の物件になると、買取を断られる可能性がある。

売却を急ぎたい場合は直接買取を、より高額での売却を希望する場合は仲介を選ぶと良いでしょう。

まとめ

実家の相続はよくトラブルに発展します。

特に共同相続人が複数いる場合は、協議を通じて結論を出す必要があり、その忙しさから重要な手続きを見逃してしまうことがあります。しかし、相続税の申請などを見逃すと法的な問題が発生する可能性もあるため、バタバタと忙しい中でも必要な手続きは着実に行うことが重要です。

実家を相続してそのまま住む場合や売却する場合、どちらにおいても必要な手続きをきちんと実施し、トラブルの発端とならないように心掛けましょう。

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