遺言執行者とのトラブルは、主に以下の3つの場合が考えられます。①相続人の意図と異なる遺言内容、②遺言が不明確な場合、③遺言執行者の職務執行に問題がある場合です。それぞれについて詳しく説明します。
相続人の関係については以下の記事を読んで理解してくれ
ケース1|遺言の内容に問題が生じた場合
まず、遺言の内容が相続人の意図と異なる場合が考えられます。遺言執行者は遺言者の遺志を実現する代理人として行動しますが、遺言の内容によっては遺志と相続人の利益が一致しないことがあります。相続人が土地の相続や法定相続分について異なる期待を抱いている場合、トラブルが発生する可能性があります。
遺言者が決めた財産分配の割合によっては、相続人が予想していた土地を相続できなかったり、法定相続分よりも少ない相続分が設定されたりすることがあります。このような場合、遺言執行者と相続人との利害が衝突します。
相続人は、遺言の記載が遺言者の真意でないなどの理由により無効であると主張する方法を検討できます。この場合、裁判所の関与が必要であり、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
また、相続人は遺留分を主張したり、遺産分割協議を通じて異なる財産分配を合意することも考えられます。相続人同士の話し合いや合意が成立すれば、遺言の内容よりもその合意が優先されます。
これらの方法を検討する際は、遺言執行者に意思を伝え、話し合いの結果をまとめると良いでしょう。裁判所の手続きに頼る前に、話し合いを進めて解決を図ることが望ましいです。
ケース2|遺言書の内容が不明確である場合
2つ目の例として、遺言書に書かれた内容が不明確であるため、遺言執行者の遺言の執行意向と相続人が考える遺言の内容が食い違う可能性があります。
このような状況では、まず遺言執行者に対して遺言の執行を待ってもらいつつ、相続人同士で話し合いを行い、どのように進めるかを決める必要があります。話し合いの中で遺言者の意思を尊重し、遺言執行者も含めた合意形成が重要です。合意が成立すれば、必要に応じて遺産分割協議書を作成しますが、合意がまとまらない場合は最終的に裁判所に遺言書の解釈を求めることが考えられます。
ケース3|遺言執行者の職務執行に問題が生じた場合
3つ目のケースでは、遺言執行者の職務執行に問題が生じている場合には、遺言執行者を解任することが検討されます。ただし、解任できる条件は「任務を怠った場合」または「解任を正当化する理由がある場合」に限られます。
「任務を怠った場合」には、財産目録の作成や手続きへの協力がないなど、遺言執行者が期待される行動を怠った場合が考えられます。また、「解任を正当化する理由」としては、遺言執行者が大病や行方不明になった場合などが挙げられます。ただし、これらの場合、遺言執行者自身が辞任手続きを行うことが一般的です。
問題が生じるのは、特定の相続人や受遺者を優遇する行動がある場合です。このような場合、不公平だと感じる関係者は、証拠を集めた上で、遺言執行者の解任を求めることがあります。
遺言執行者の解任は、相続人や受遺者が家庭裁判所に申し立てを行い、解任を求めるプロセスを経ます。家庭裁判所は申し立てを受け、遺言執行者の解任を判断する際に様々な事情を検討します。解任を求めている期間中に遺言執行者が執行行為を行う可能性があるため、家庭裁判所には遺言執行者の権限を停止するか、別の代行人を選任するように依頼することが望ましいです。
まとめ
遺言執行者がいる場合、基本的にはその人が遺言の内容に沿って相続を取り仕切ります。ただし、遺言書の内容が必ずしも正しいというわけではなく、遺留分が侵害されていたり、公的に認められるものでない場合は遺言書の検認作業が必要になります。
トラブルに発展してしまった場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
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